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この記事は、LEGO BIG MORLタナカヒロキさんが2021年8月16日にKITSUの記事で公開した[#33] 何とも言えない 『役不足』を再編集したものです。
活字フェチ
ヒット曲なんて世に送り出せていないものの、一応作詞家なんだから言葉を扱うスペシャリスト。
なんて思われることが多い。
本当に申し訳ないんですが、僕は馬鹿です。
言葉を知りません。
漢字も書けないし、今こうして変換キーがあるから漢字を書けているが、なければ平仮名だらけのコラムになっていることでしょう。
読書家なんでしょう?
おすすめの本を教えてください。
これもよく言われる。
そりゃ本は好きだが、詳しくはない。
恐らく人並みなんだ。
申し訳ない気持ちになる。
僕は活字フェチなんだと思う。
ネットに転がっているニュース、それに好き勝手言うコメント、それらを流し読みするのが好きだ。
気になる記事をスマホにブックマークしては移動中や、寝る前に読む。
暇な時間は何か読んでおかないと気が済まない。
この具合は人とは違うのかもしれない。
世の中の人は、そういう時にYouTubeや配信の映画など観るのだろう。
僕は何かしらスマホで日本語を読んでいる。
それなのに言葉を知らないなんて余計に恥ずかしい。
「KITSU」でコラムを始める不安
昔こんなことを言ってしまったことがある。
「日本語は『あなた』という意味の言葉が沢山ある。『君』『お前』『てめえ』など。でも英語は『YOU』だけでなんて風情がないんやろう」と。
今思うと短絡的な恥ずかしい発言だし反省している。
すると、その時横にいたスタッフがこう言った。
「確かにそういう部分もあるけど、英語の『LOVE』みたいな壮大で色んな意味を表すような言葉は日本語にはあるかな?」
そう言われると僕は何も言い返せなくなり、恥を何層にも上塗りした。
言葉は好きだし、日本語の美しさが好きだし、英語の大きさ(意味として)も感服するし、その他の言語も話せるもんなら話したい。
今ならそう思える。
この「KITSU」でコラムを始めるのも言葉を知らないのに大丈夫なのかと不安があったし今でもある。
何ならこのコラムの中にも、間違えた表現があるかもしれない。
でもそれすらも自分の勉強のためだと思おう。
間違えた表現もあえて残す、自分への戒め。
まずは口だけじゃなく行動しよう。
と自分に言い聞かせ、自分に言い訳をして、僕なりに大きな覚悟を持って「KITSU」を始めた。
そしてまずはホームページに前書きとして載せる文章を書こう。
吃音のこと、コラムのこと、洋服のこと、何より僕の想いを力一杯書こう。
そして前書きを書き終えた。
あとは情報解禁を待つばかりだ。
無事「KITSU」はスタートした。
たくさんのリツートや反応、そしてたくさんのご支援もいただいた。
一安心している僕に、奥さんが言った。
「さっき前書き読んだけど、『役不足』って言葉間違えて使ってるよ?」
エゴサ的なものをしてみる。
数件、その間違いを指摘するものもあった。
前書きで、僕はこう書いている。
「お前じゃ役不足だと思われるかもですが、謎の使命感があります。」
「思われるかもですが」というのも日本語として正しくないのはわかってるつもりだったが、問題は「役不足」。
これ本当は「力不足」と書かないといけない文脈だった。
僕は言葉をこれから発信していきますという宣誓でいきなり言葉を間違えているのだ。
もう恥ずかしいったりゃありゃしないが、これは自分への戒め。
訂正せずにそのまま載せている。
でもこのコラムを読んで、もう一度あの前書きを読みに行ってみようと思ってもらえたなら。
そんな間違いもしてよかったのかもなんて、自分に甘いことを思っちゃったりなんかしたりして。
実際、僕もこのコラムを書くにあたってもう一度読み返した。
役不足は反省なのだが、自分の言葉に背筋が伸びた。
あなたももう一回読んでみてよ。
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