こんにちは、吃音当事者のざきです。
今回は「おてつたび」というサイトを通して、旅館で働いた経験から得たものについて紹介します。吃音があることを理由にできない理由を探すのは簡単。でも勇気を出して一歩踏み出せば、違う景色が見えます。
この記事がそのきっかけになれば嬉しいです。
体験しようとおもったきっかけ
みなさんは「おてつたび」というサービスを知っていますか?
一言でいえば、旅をしながら、旅先でアルバイトができるサービスです。旅行するにはお金がかかる、なら旅先で働けたら、旅費を抑えられる。受け入れ先では、働きにきてもらえるので仕事を手伝ってもらえる+自分の仕事を知ってもらえるので、PRにもつながる。双方にとってメリットがある、ありそうでなかったサービスです。
「おてつたび」を知ったのは、「ガイアの夜明け」というテレビ番組で取り上げていたのがきっかけです。好奇心が強く、面白そうなことを体験してみたい僕からすれば、地方のホテルや農家など、まったく関わりのない分野の職場体験ができる「おてつたび」のサービスはかなり魅力的に映りました。さっそくサイトに登録して、日程が合う受け入れ先を探していたら、長野県と新潟県の県境近くにある妙高高原の旅館が条件に合ったので行ってきました。
そのときは吃音の症状もかなり落ち着いていたので、そんなに不安もなくどんな職場なんだろう、違う場所で働くわくわくが勝っていたので、非常に楽しみでした。
旅館で働いて感じたこと
夜行バスと電車を乗り継いで、10時間かけて大阪から妙高高原にあるホテル太閤に到着。2月に行ったので雪国らしい景色が楽しめました。1泊2日だったので、就労時間はお昼から夕方、早朝でした。最初にオリエンテーションを受けて、制服をもらって、14時までは自由時間だったのでスキーを楽しんできました。
仕事内容は、フロント業務と駐車場案内、夕食の準備、配膳、バッシング、朝食のバイキングの準備、配膳係とお客さんと直接関わる接客がメインでした。マニュアルの読み合わせをしたり、案内のやり方を練習したりするなかで、やっぱり吃音は出ました。
マニュアルが決まっているので、言いやすい言葉に置き換えることは難しく、そこが難点でした。指導していただいた方からは、「言葉が詰まるのはあまりよくない、お客様が違和感というかどうした?ってなってしまうので、そこを頑張ってほしい」とのコメントでした。
駐車場の案内は、温泉宿だったので、日帰りか宿泊かをまず伺い、駐車場に誘導する内容でした。雪で危険な路があったので、そこを迂回してもらい、駐車場に向かってもらうことをわかりやすく伝えるのが、難点でした。
旅館の接客で求められるのは、時間をかけてもいいから、一つ一つの内容を確実にわかりやすく伝える丁寧さ。それが旅館の価値を高めている一つの要素なんだなと感じました。料理を提供する際も、「料理の説明を添えてください」という普段は意識をしないことでした。コース料理を提供するのは初めての経験だったので、食べる料理がどんな食材を使っているのか、どんな食べ方をしてほしいのか。普段何気なく利用している飲食店では、料理を出して終わりなことも多く、これが接客業なんだなと実感しました。
朝のバイキングでは、ごはんの給仕をしたので、自分からお客さんに声をかけることも多めでした。年齢や体格によってごはんの量を少しずつ変えたり、できるだけの丁寧さを意識しながら接客をしていました。
吃音と就労
旅館で働いてみて感じたことは、人と接することはやっぱり楽しいということでした。吃音によってハンデは少しあるけど、言葉以上に雰囲気や態度を丁寧にしていけば、どんな職場でも働けるんだなということもあらためて実感しました。僕は状況把握力が高いほうなので、今どんな状況なのか、今自分にできることは何かを探す習慣が身についています。それは、吃音があることで生じる言葉のハンデをなくすために、人よりもいろいろ動こうとしてきた結果だと思います。
吃音は知らない状況、苦手な状況のときに起こりやすくなるので、それを避けるためにいろんな情報を集めて、自分が得意な状況、動きやすい環境を作っていくことを意識しています。その積み重ねをしていけば、「周りからはよく見えているな、よく働くな」と評価につながってくると思います。
今回の記事を通して伝えたいことは、吃音があっても何者にもなれるということです。僕が旅館で実際に働けたように、既存のサービスをうまく利用すれば働ける環境はいくらでも作れます。やりたい仕事をあきらめる前に、どうやったらその仕事につけるか、視野を狭めずに方法を探してみるのも夢をかなえる一歩につながります。
僕が大切にしていることは実際に体験すること。
面白いと思うことには積極的に挑戦して失敗をしていくこと。
経験の量を積めば質も上がる。いろんな体験をすることで、楽しい人生が待っています。
この記事を読んで、そんな気持ちになってもらえると嬉しいです。読んでくださりありがとうございました。
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