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今回はカミングアウトをテーマに書きました。職場や学校、初対面の場で、自分が吃音であることをカミングアウトすることは、とても勇気のいることだと思います。私の実体験から学んだ考えが伝われば嬉しいです。
上手く話せない吃音に劣等感や恥ずかしさを抱いていた学生時代
私は大学生になるまで、カミングアウトをするどころか、吃音について誰かと話すということ自体考えたこともありませんでした。
「どうして上手に話せないの?」などと聞かれた時にも、曖昧に受け流したりして、きちんと答えることはありませんでした。それは、それだけうまく話せないことに劣等感や恥ずかしさを抱いていた証拠だと思います。
きっかけは就活。吃音に理解がある企業の面接で、吃音を気にせずにアピールしたいことを伝えられたこと。
その考えが変わったきっかけは、就職活動でとある企業の面接を受けた時のことです。
吃りながら話す姿を見た面接官が、「この会社にも吃音の方がいて、症状についてよく知っているので、気にしなくていいよ」と言っていただきました。なかなか面接で自分の思いを伝えられていなかった中、その面接では自分を最大限にアピールできた気がしています。
それまでは、面接をする部屋への入室の時点で、「失礼します」という言葉や自己紹介がうまくできずにいる自分を見て、「極度のあがり症で、あたふたしている人」と認識されている気がしていました。
なんとか緊張を和らげようとアイスブレイク程度の簡単な質問をされるばかりで、「このままでは埒が明かないな」と感じていたところでした。
面接は第一印象が大切であることを痛感し、「たった数十分の面接で自分をアピールするにはどうしたら良いだろうか?」と考えていました。
普段の生活でもカミングアウトを決意。自分が思っているほど周りは気にしていないと気づく。
今までを振り返ると、私は、他人に自分のことを理解してもらうのに時間がかかる傾向がありました。現在は気の知れた友人にも「最初は変な人だと思っていたけど、話しているうちにその印象が変わったし、思ったよりおしゃべりだよね」と言われることが多い気がします。
関係を持つうちに、ただあがり症な訳ではなくて、話すことに対してなんらかの苦手意識(あるいは障害のようなもの)があるということを知ってもらえたのだと思います。
そこで、やはり「自分が吃音であり、ただ緊張しすぎている訳ではない」ということを知ってもらうことが必要だと考えました。そのために、自分から吃音であることをカミングアウトするという方法を選びました。
そこから面接でも、初対面の人に会う時も、極力自分が吃音であるということをカミングアウトするように心がけました。
すると、大半の人は「あ、そうなんだ」程度で、その後何か言ってきたりはしませんでした。その反応を見て、自分が思っているよりも周りにはあまり気にされていない、つまり自分が自意識過剰になっているところがあることに気づきました。
自己紹介の後に、「吃音があるって言ってたけど、別に気にならないよ」と言ってくれる人も何人かいました。つまるところ、「別にわざわざカミングアウトする必要はないのに」と思っている人がほとんどなのかな、と思います。
吃音をカミングアウトするかどうかは「生きやすくなるかどうか」
それでも、そう言ってくれたのは、カミングアウトすることで「吃音に触れることはタブーである」ということではないことを伝えられたからだと思います。さらに、カミングアウトすることで、自分の中で吃音を隠そうとする意識がなくなるので、とてもストレスが軽減されることがわかりました。
自分の中に溜め続けていた、吃音に対するモヤモヤした感情が一気に発散され、とても楽になりました。
このように、自分にとっては、カミングアウトをすることはとても良い方法だということがわかりました。これからも、人と初めて会う時などは、なるべくカミングアウトするようにしていこうと思っています。
ただ、吃音という症状は、自分の意識の持ち方によるところが大きいと思います。なので、カミングアウトするかどうか、それが向いているかは人によって違うのでしょう。自分と同じように話した方がすっきりする人もいるでしょうし、隠していた方が楽な人もいるのは確かです。
そのため「他の吃音者がどうしているか」ではなく、「カミングアウトするのとしないのとで、自分が生きやすいのはどちらか」を基準に選択することが大切だと思います。
今回の考えも、あくまでも一例として、カミングアウトしようか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
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