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ここ一番という肝心な場面で、吃音が出た経験を持つ当事者は少なくないと思います。私もその経験をした1人です。初めてその悔しさを実感したのは中学生の時でした。今回は、その経験からどのように立ち直ったのかをお話したいと思います。
委員会決めのスピーチで声が出ずに頭が真っ白に…
中学1年生の春、私は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら席に座っていました。その日、クラスは委員会の役割を決める会議をしていました。
委員会の担当になりたい人は、手を挙げて志望動機をクラスの前で発表します。人気の委員会は志望動機の後に多数決をして誰にするか決めることになっていました。
私は学校新聞を作る新聞委員会に入りたいと思って、思い切って手を上げました。しかし、志望動機を発表するために黒板の前に立った時、緊張のせいで頭が真っ白になってしまいました。
急いで、思いついたことを声に出そうとしますが、吃音が出て上手く言葉がでてきません。クラスメイトの不思議そうな、戸惑った顔を見ているうちに途中で立候補をやめたいとも思ったほどでした。
何を話したのか自分でもわからないまま、話し終わって席につくと、私の志望動機に投票した人は0人で、満場一致で別のクラスメイト2人が新聞委員になりました。
発表に失敗して落ち込む私へ、先生からのアドバイス
委員会の役割決めが終わって下校の時間になると、私は居ても立っても居られず急いで帰りの支度をはじめました。
顔を真っ赤にして帰り支度をしている私のもとに、先生が近づいてきました。
「発表お疲れ様。頑張ったこと凄くわかったよ。」先生が私に気を遣って慰めに来たかと思うと、更に惨めな気持ちになり、思わずうつむきました。
「委員になったら、こうしていきたいという抱負を熱く語ったら良かったと思うよ。」先生はそう言って私の肩をポンと叩き、教室を後にしました。
先生のアドバイスを参考に立候補に再挑戦。結果は大成功!
中学3年生の春、私に転機が訪れました。新聞委員会に一緒に応募しないかと言う友達が現れたのです。
私はその時、2年前の光景が脳裏によぎり、また恥ずかしい思いをしたくないと感じました。しかし、目の前の友達の誘いを断ることもできずに、委員会の担当決めの日になりました。
新聞委員会は2人委員を選ぶことになっています。そして、私を含めて3人の候補者が立候補しました。
志望動機を発表する順番が近づくにつれて心臓の鼓動が早くなっていきます。私はあの日先生からもらったアドバイスを繰り返し思い出していました。
志望動機の順番が来ました。私は新聞委員会に入ったらどうしていきたいか、2年間の思いの丈を熱を込めて話しました。自分でも奇妙なくらいスラスラと言葉が出てきて、クラスメイトが興味を持って話を聞いてくれていることがわかりました。
結果的に私は友達の後押しもあり、新聞委員会に選ばれました。何よりうれしかったのが、委員会に選ばれたことをアドバイスをくれた先生に報告したときに大変喜んでいただけたことです。
あの時に、挫折を乗り越えて再びチャレンジして良かったと思いました。
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