この記事は約3分で読むことができます。
吃音があると伝えなくても、あたたかい対応をしてくれる人たちがいます。私の幼馴染も親切な友達の1人でした。今回は私と幼馴染についてお話したいと思います。
吃音の偏見に悩んだ小学生時代。私を救ってくれたのは幼馴染だった。
小学5年生の頃、私はマンションに住んでいて、みかちゃんという友達が別の階に住んでいました。
みかちゃんとは学年が2つ違い、教室が離れていたせいもあり、学校では顔を合わせることはありませんでしたが一緒に家に帰ってくるとお互いの家や近所の空き地で毎日のように遊んでいました。
当時、私はあまり学校が好きではない子供でした。なぜなら、吃音がうつると噂され、私と会話するとうつるからと恐れられて話してくれる子が少なかったからです。そんな私が毎日学校に行くことができたのは、下校時に一緒に帰ってくれるみかちゃんの存在でした。
下校時間になると、どちらか早く終わったほうが相手の教室まで迎えにいくことにしていました。みかちゃんの担任の先生は帰りの会を長くする先生だったので、大抵私がみかちゃんのクラスに向かいました。
ある日、私のクラスの帰りの会が長引いたことがありました。時計を見ると、みかちゃんのクラスの帰りの会が終わる時間です。みかちゃんが私のクラスに来て、クラスメイトから何か言われないか不安な気持ちを抱えながら座っていました。
残念ながら、私の不安は的中しました。みかちゃんは私のクラスの帰りの会が終わってドアが開いた瞬間、大声で私の名前を呼んだのです。私の名前を呼ぶ声が聞こえてクラスメイトは驚いて一斉に私のほうを見ました。小学校で私の名前を呼ぶのは先生ぐらいしかいなかったからです。
病気がうつるから一緒に帰らないほうがいいよ、とみかちゃんに言うクラスメイトがいました。みかちゃんは、その声が聞こえなかったかのように無視して、私のほうに速足で歩いてくると、私の腕を掴んで校門まで走りました。
声が出るまで頷いて待っていてくれた友達の優しさ
急いで学校を出た後、私はみかちゃんに何と言えばいいか分からず黙っていました。そして、やっとの思いでクラスメイトが嫌なことを言ってしまってごめん、と謝りました。
みかちゃんは少し間を空けて、全然気にしてないよ、と言って小さく笑いました。申し訳なく思いながらも、別の話題を探そうとしましたが、焦って出てきたので言葉が上手く出ません。
口をパクパクして言葉を出そうと藻掻いている最中も、みかちゃんはうんうんと頷いて言葉を待ってくれました。その時、みかちゃんはいつも自分の話を最後まで待ってくれていることに気が付きました。みかちゃんは何も言わなくても私の気持ちを分かってくれていたのです。
みかちゃんはその後、引っ越して今どこに住んでいるかは分かりません。しかし、あの日私の声にならない気持ちを分かってくれた彼女と過ごした日々は今でも私の大切な思い出です。
この記事へのコメントはありません。