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今回は、吃音で障害者手帳を取得した方へ向けた記事です。実際に体験した内容を紹介します。
この記事を読んでいる方の中には、吃音に悩んでいる方や障害者手帳の取得を考えている方もいるかもしれません。
しかし、障害者手帳の取得には様々なハードルがあります。吃音という障害の特徴として、なかなか障害者手帳を取得できないということがあります。例えば、吃音での障害者手帳は精神障害者手帳に分類されることもあります。
今回、体験談を話してくれたさっぱんさんは、身体障害者手帳の取得に成功しました。その話をご紹介するので、障害者手帳を取得しようと悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
障害者手帳を取得した理由
障害者手帳を取得するまでにどのような経緯があったのかを聞かせていただきました。
さっぱんさんは、以下のように答えました。
体調不良のため、2013年に新卒で働いている会社を辞めました。会社を辞めた後、転職活動をして、同年に再就職をしたものの、ある考えが頭の中を過ぎるようになりました。それは障害者手帳を取得するということです。「何かあった時でも一家の稼ぎ頭として家族を支えないといけない」そんな思いに強く背中を押され、障害者手帳を取得することを決意しました。精神障害者保健福祉手帳の方が取得が容易だとは思いますが、自分の場合は身体障害者手帳を取得することができました。
家族を支えるために障害者手帳をとる
吃音のある人はたくさんの悩みを抱えており、仕事はその中の大きな悩みの一つです。
例えば、吃音があると、仕事での人間関係を上手に築くことができないこともあります。
また、自分にスキルや知識があるにも関わらず、発言が消極的になったり、スムーズにコミュニケーションが取れなくなったりすることがあります。これらの問題があるため、本来の力を発揮できないことがあります。
まだ結婚をしていない場合であれば、しばらく仕事を休んだり、仕事を変えたりなどの選択肢があるかもしれませんが。
しかし、家族がいると精神的に負担のある状態でも仕事を続けないといけないと、プレッシャーに感じてしまう場合もあります。
今回の話を聞かせていただいた方は、障害者情報を取得することで働き方の選択肢を増やし、自分の家族を支えるという選択をされました。
身体障害者手帳をどのように取得したのか?
それでは次に身体障害者手帳の取得についてお話を伺いました。
というのも、ほとんどの場合は、吃音で障害者手帳を取得すると精神障害者手帳を取得することが多いのですが、今回は身体障害者手帳の取得という非常に珍しい事例でした。
その取得の経緯についてお聞きしました。
ネットで近隣の病院(鳥取県東部)を検索すると、リハビリテーション科があり、そこを受診するようにしました。その後、耳鼻咽喉科を紹介され受診し、一回目に受診したリハビリテーション科を再度受診したら、障害者手帳を取得するための診断書を書いていただくことができました。
そのまま住民票がある役所の福祉課で、必要書類を提出し、身体障害者手帳4級を取得することができました。
リハビリ科だと身体障害者手帳を取得できる?
今回の話を聞かせていただきました。
ええと、この方はリハビリテーションのために診断書を書いていただいているのでしょうか。この方はリハビリテーション科で、障害者手帳の取得のための診断書を書いていただいています。
お話を聞くと、リハビリテーション科に行くと、身体障害者手帳の診断書を書いてくれるのではないかと思い、さらに詳しく聞いてみました。
たまたま受診したリハビリテーション科のお医者さんが、身体障害者福祉法第15条の指定医(15条指定医)のため、吃音で身体障害者手帳の診断書を作成することができたと思います。実際に身体障害者手帳の診断書を書いて下さったリハビリテーション科の医師も、「吃音で身体障害者手帳の診断書を書くのははじめて」とおっしゃっていたため、当時(2014年)は、吃音症で障害者手帳を取得する人が稀だったと思います。基本的には吃音での身体障害者手帳を取得するとなると、耳鼻咽喉科と精神科がほとんどだと思いますが、私の場合はリハビリテーション科で手帳取得のための診断書を書いていただけました。
※ 身体障害者福祉法第15条の指定医(15条指定医) : 身体障害者手帳の申請に必要な「身体障害に関する診断書」を作成する医師のことです。吃音症の場合は主に耳鼻咽喉科の医師(15条指定医)に診断書・意見書を書いてもらわなくてはなりません。
吃音での障害者手帳の取得方法はさまざま
この方は自分の近所の病院のリハビリ科に行ったところ、偶然、身体障害者手帳の診断書を書くことができる指定医がいたため、手帳の取得ができたようです。
しかしながら、今回の事例で明らかになったように、指定医の先生でも、吃音で身体障害者の診断書を作成することはあまりないようです。
そもそも吃音で障害者手帳を取得することは一般的ではないこともあり、さらに、その中でも珍しい身体障害者手帳の取得を経験している専門医の方は少ないと考えられます。
今回の体験談でもわかるように、吃音があり障害者手帳を取得しようと考えた時に、その方法は一つではありません。
また、一度、障害者手帳の取得を試みて、そこで障害者手帳を作成できないと断られたこともある人もいるかもしれません。
しかし、吃音で障害者手帳を取得するための明確なルールがあるわけでなく、先生によって診断書を書いてくれる先生とそうでない先生もいるのが現実です。
日本では、吃音の専門医以外にも少ないこともあるので、障害者手帳を取得する時には事前に情報収集することも大切です。
身体障害者手帳を取得したことで起きた変化
これまで障害者手帳の取得の経緯や、障害者手帳を取得した方法について話を聞きました。
そして、次に実際に障害者手帳を取得して、その後の生活や心境にどのような変化があったかについて、さらに詳しく聞きました。先週の。
一言で言うと、スッキリしました。障害者手帳を取得する前までは、自分自身のアイデンティティとして吃音者として認めたくない自分と吃音者として認めたい自分がいて、葛藤していました。葛藤していた時がとてもしんどかったです。でも、障害者手帳を取得したことで、吃音の当事者ということを自分自身が認めることができました。そのほかの変化としては、身体障害者手帳を取得したことにより、福祉サービスの恩恵を受けやすくもなりました。
吃音を自分の特徴だと受け入れることができるか?
障害者手帳の取得を考えている方にとって、一つの課題は障害者手帳を取得することをポジティブに考えていないことがあります。
「障害者手帳」という名前の通り、障害者手帳の取得は自分自身を障害者であることを認めることにもなります。
元々、吃音に対してネガティブに考えていない人であれば、気軽に手帳を取得することができるかもしれません。
しかし、自分自身の吃音を特徴の1つやアイデンティティとして受け入れることができない場合、障害者手帳を取得することの大きな課題となるでしょう。
障害者手帳の取得による仕事への影響
また、障害者手帳の取得のきっかけとなった仕事についても、話を聞かせていただきました。
障害者手帳を取得することで、障害者雇用枠での採用ができたり、吃音があることを事前に就職先に知らせることで、働きやすくなるとを考える人が多いのではないでしょうか。
実際に障害者手帳を取得してどのように変化があったのか聞いてみました。
今現在、福祉関係の仕事をしています。転職の履歴書には、身体障害者手帳を持っていることを、書きましたが一般枠で採用されましたので、一般枠で働いています。福祉関係の仕事のためか、一般枠でも吃音症への合理的配慮を受けることができています。
やはり、福祉関係の仕事というのが職場内で吃音症への理解に大きく貢献しているのでしょうか?
はい。福祉の仕事で実際に障害を持った方の支援をしています。そのため、吃音に対しての理解もありました。ただ、全員に吃音があることを伝えているわけではありません。上司と一部の同僚のみに伝えています。
障害者手帳取得は1つの選択肢にすぎない
今回のさっぱんさんの例でも当たるように、障害者手帳を取得したからといって、障害者雇用枠で採用されるというわけではありません。
今回、インタビューを見てもわかるように、障害者手帳を取得しましたが、実際に障害者雇用枠で働いたわけではありません。実際は、仕事に関して障害者手帳がどのように影響したかというと、影響はほとんどありません。
しかし、障害者手帳を取得することによって、障害者雇用枠で働けるという安心材料が増え、それによって家族を支えることができるという心の安定に繋がっています。
障害者手帳の取得は、一つの選択肢に過ぎません。その実際にそれを使うかどうかは、その時の判断ですが、選択肢をたくさん持っておくことが、結果的にストレスや不安のない人生を歩む手段になるということは言えます。
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