【体験談】吃音当事者の障害者雇用と働きやすさ - HAPPY FOX

【体験談】吃音当事者の障害者雇用と働きやすさ

  1. 吃音での障害者手帳
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近年、吃音症でも障害者手帳が取得できるようになり、働き方の選択肢として障害者枠での雇用を検討している人が増えました。

本記事では、雑誌の編集者、介護職リーダーを経て、事務職(障害者雇用)でご活躍されているニャンコ先生に障害者手帳と働きやすさをテーマにインタビューする機会をいただきました。

障害者雇用で活躍されている人の体験談を読みたい

そんな方にぜひおすすめの記事となっています。

※ 本記事はインタビュー形式の記事となっています。

手帳を取得したきっかけと障害者採用までの経緯

では、まずご経歴と手帳を取得した経緯について教えてください。

大学卒業後、雑誌の編集者を経て、介護職につきました。

介護職でのリーダー業務をやっているときに業務へのプレッシャーが大きくなり、発達障害の2次障害を発症しました。大学を卒業して、20年間は一般枠での就業をしていましたが、発達障害の2次障害の発症をきっかけに障害者手帳を取得する決意をしました。

20年間の一般枠でのご活躍の後に、障害者採用で今の企業でご活躍されているのですね。手帳を取得したあとはどのような過程を経て、障害者枠で就職したのでしょうか?

就職先を紹介してもらいたく、就労移行支援に1年間通いました。人材紹介会社での転職活動も検討しましたが、地方というのもあって求人が少なかったというのがあります。

就労移行支援に通うと就職先を紹介してもらえるのでしょうか?

私も、当初は就労移行支援事業所に通えば、紹介してもらえると思っていました。しかし、地方だったことと年齢的な要因が大きく、就労移行支援事業所からは就職先は紹介してもらえませんでした。そのため、近くのハローワークに行き、求人を調べて、大学生のときにやった就職活動をしました。数十社受けて、内定をもらった今の会社で事務職として働いています。

手帳を取得したことでの働きやすさの変化は?

障害者手帳を取得して、実際に障害者枠でご活躍される中で、一般雇用の時とは違う、”働きやすさ”はありましたでしょうか?

まず一つ目に職場のデスクに固定電話がないことです。実は一般雇用の時から、吃音関係なしに電話の応対が苦手でした。今後設置される可能性もありますが、今のところは自分のデスクには固定電話が置かれていなくて働きやすさを感じています。

固定電話が自分のデスクにあるだけでドキドキしますよね。そのほかに感じた働きやすさはありますでしょうか?

今、働いている会社側が初めての障害者採用ということもあり、いい意味で環境が整備されていません。そのため、上司に相談して、自分が働きやすくなるように環境の整備ができます。今の会社で働く前に、2週間ほど特例子会社で実習を受けたことがあります。元々、単調な作業は苦手ではないのですが、単調すぎて物足りなさを感じました。今の職場での仕事は、単調すぎず、でも難しすぎず、自分にあった仕事ができています。もし、わからないことがあってもすぐに上司に聞ける環境で非常にありがたく感じます。

※ 特定子会社とは、障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社のことです。

一概に障害者雇用といっても、仕事の難しさのバランスが大切ですよね。難しすぎる仕事は、負担が大きい。一方で、単調すぎると業務に物足りなさを感じる就業者もいる。一概に障害者雇用といっても、ご本人が納得するバランスの取れた業務内容を企業側が提供していくのが必要なのかもしれません。

先ほど、発達障害の2次障害で手帳を取得されたとおっしゃっていましたが、吃音への合理的配慮はどうなっていますか?

実は、吃音での診断はついていないのですが、今の会社の面接の時に、吃音での合理的配慮も求めました。就労移行支援事業所の職員さんには、「診断書がないなら、吃音のことは言わないほうがいい。企業から診断書を求められたらどうしますか。」と言われたことがあります。

これは難しい問題ですね。今現在は吃音症だけで手帳の取得が可能とされていますが、少し前までは、吃音症からの2次障害である不安障害や適応障害などで医師からの意見書をもらい、障害者手帳を取得すると聞いたことがあります。

複合的に症状がある方は、全てに合理的配慮を求めていいと個人的には感じますが、診断がついていない症状に対してどこまで配慮を求めるのか線引きが難しいですね。

ニャンコ先生からのアドバイス

当団体にも、障害者手帳の取得や障害者雇用に関する相談が多数寄せられます。

障害者雇用で働くことを検討される方に一言いただけないでしょうか?

これは100%個人的な意見です。ですので鵜呑みにはしないでください。

私自身は20年間の一般枠での社会人経験を経て、障害者雇用で今の会社で働いています。

障害者手帳を取って働くのは我々にとっては働きやすさの選択肢として大きなものでしょう。その一方で、障害者手帳を取ったためか、「吃音でも頑張る」という気持ちが自分の中で薄れていきました。一般枠で働いているときは、「〇〇があっても頑張る」精神で頑張っていました。しかし、今は昔ほどその気持ちは強くはありません。その代わり、障害者雇用で働いている今は、例えば「電話応対は苦手なため、他の業務で頑張る」という気持ちが芽生えてきました。

障害者手帳はいつでも取得できます。ですので、一般枠で働いてみて、配慮が必要だと感じてれば、躊躇なく取得して、障害者枠で働くのがいいと感じます。

ニャンコ先生、ありがとうございました。

ありがとうございました。

今回の体験談記事が多くの方のお役にたてましたら幸いです。

※ 今回の記事は雑誌の編集者、介護職リーダーを歴任し、障害者枠の事務職として活躍されるニャンコ先生にインタビューしたものを編集したものです。

日本吃音協会(SCW)

吃音への認知・理解はいまだに不足しており、 吃音を持つ人のなかには
「自分の人生は素晴らしい。幸せだ。」 と思えない人も少なくありません。
私たちは、SCW (Stuttering Change The World =吃音が世界を変える)を
活動スローガンとしてその輪を広げることで、言葉の病気に対しての理解が不足している 社会を変え、吃音を持つ仲間が 幸せに生きることができる 社会をつくっていきます。
*当事業の売上はすべて吃音啓発活動や社会貢献活動に使われます。

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