【吃音者の就活】障害者手帳の病院探しや取得して気が付いたこと - HAPPY FOX

【吃音者の就活】障害者手帳の病院探しや取得して気が付いたこと

  1. 吃音での障害者手帳
  2. 723 view

日本吃音協会ではこんな支援も!

・障害者手帳の取得支援
・就職・転職支援

▼ 詳しくは公式LINEから
≫ https://linesupport.ecai.jp/optin/1?ecaiad=HyzgPcEF

吃音当事者のKayと申します。

私は約2年前、吃音で精神福祉障がい者手帳を取得しました。

今回の記事では、その取得までの過程を紹介します。

就職活動や転職活動中、自分自身の吃音によって不安を感じる人も多いと思います。

そして、就職活動や転職活動を有利に進めるために障害者手帳の取得をした方が良いのかと考える人もいるのではないかと思います。

障害者手帳を取得する中で、さまざまな不安や気持ちの変化があったので、私が障害者手帳を取得した経験を話すことで、その不安を解消できれば嬉しいと思い、今回の記事にさせていただいています。

手帳の取得を考えたきっかけは”自分が働きやすい環境”

手帳の取得を考えた当時、私は就活生でした。

それまでは、学校生活などでうまく話せない場面があっても、「大丈夫」と言われ、その言葉を信じ、流れに身を任せることで何とか生活できていました。

就職は学生の活動とは違った

しかし、就職活動の面接ではそうはいきませんでした。面接で言いたいことが言えず、なかなか面接を通過できませんでした。このまま面接で話すストレスや無力感を感じ続けると思うと、目の前が真っ暗になってしまいました。 そんな中、大学のカウンセラーの先生に、「吃音を持っている知人に、障がい者手帳を取得して仕事をしている人もいたよ」という話を聞きました。

自分が手帳を取ることができるとは思ってもいなかったので、最初はその言葉を軽く流していました。周りにも「手帳なんかなくても、一般枠で問題なく働ける」と言われていました。

ゴールは内定ではなく入社後

しかし、よく考えると、それはあくまでも周りの人から見た意見です。もし一般採用で内定をもらえても、苦手な電話対応等で苦しむ自分の姿が想像できてしまいました。

そのため、自分を勇気づけるためにも手帳の取得を考えるようになりました。

結果的に障がい者枠で就職することにならなくても、手帳を取ること、またその過程で自らの吃音に真正面から向き合う良い機会になるのではないかと思いました。

手帳を取得する過程で自分を深く知った

そうと決まれば、まずは情報収集です。調べたところ、手帳を取得するにあたって、初診日から6ヶ月経過した以降の、医師からの診断書が必要となることがわかりました。

障害者手帳を取得するための情報収集

障害者手帳を取得するためには、まずは吃音の診断が必要です。しかし、どの病院にかかれば良いのか迷ってしまいますよね。市役所に問い合わせてみると、「それぞれの病院が吃音を扱っているかわからないため、直接問い合わせてほしい」と言われたこともありました。

そこで、吃音の診断をしてくれる病院を探すために情報収集を始めました。まずは、耳鼻咽喉科で診察を受けることを考えましたが、その病院の言語聴覚士は、難聴の患者しか受け付けていないと言われてしまいました。

しかし、諦めずに調べ続けた結果、家族に言語聴覚士がいるという知人に相談したところ、吃音の診断をしてくれる病院があると紹介してもらいました。その病院のホームページには、吃音についての記載があるわけではなかったので、不安な気持ちで診察を受けに行きました。

このように、障害者手帳を取得するためには、まずは適切な病院で吃音の診断を受ける必要があります。情報収集をしっかり行い、適切な病院を選びましょう。

吃音と向き合い深く理解できた

自分自身の吃音について話すということははじめての経験だったので、病院ではどんなことをするのか、理解してくれるのかということがすごく不安でした。実際に病院に行ってみると、吃音についての丁寧な説明を受けることができ、不安は杞憂であったことがわかりました。

病院では、吃音がどういう症状なのか、どういうリハビリが効果的かなど、専門家から丁寧に説明を受けました。自分の中で抱えていた悩みや、吃音について初めて知ったことなどを話すことで、心が軽くなることを感じることができました。

通院を重ねるうちに、知能検査(IQを測る検査)等の検査をいくつか行ないました。その結果、言語理解能力が低いという診断が出たことから、吃音がもたらす影響がより深く理解できました。

吃音を隠すために、話す場を避けていたことが、考えていることをまとめて話す力を養う機会を失ってしまった原因だったのだと思います。ここで受けた検査によって、より自分について深く知ることができたと思います。

意外とあさっり取得できたが、早めの行動が大事

私が手帳を取得するまでのプロセスについて、もう少し詳しくお話ししましょう。まず、役所で申請を行いました。しかし、この申請手続きには予想外に時間がかかりました。予約待ちや審査期間など、様々な要因が重なり、手帳の取得までにかなりの時間を要しました

その後、手帳を取得できたのは、私にとって驚きでした。事前に聞いていた情報からすると、吃音の障がい者手帳を取得するのは、とても難しいと思っていたからです。しかし、思った以上にあっさりと手帳を取得することができたので、非常に嬉しかったです。

調べた情報と違うことも想定する

一方で、通院していた病院では、吃音のリハビリについては対応していなかったため、別の施設を紹介されました。

私は、ネットで吃音の診療について検索していた際、あまり情報が得られないことに驚きました。

吃音は、私たちの社会で比較的一般的な症状でありながら、吃音の専門医を診療している病院は少なく、患者が適切な治療を受けることが難しいです。

詳しい人や団体でも情報収集をする

そこで、私はリハビリについて詳しい言語聴覚士に相談し、さらに日本吃音協会をはじめとしたNPOの団体にも問い合わせをしました。

これにより、私はようやく適切な施設を見つけることができました。しかし、私が直面した問題は、吃音の診療における情報の欠如だけではありません。

吃音を持つ人々は、周囲の人々に理解されにくいという問題に直面することもあります。この点についても、私はNPOの団体に相談し、有用なアドバイスを受けることができました。今後、私はこの問題についてもっと学び、他の人々が同じ問題に直面した際に役立てることを望んでいます。

1つの情報だけで諦めてはいけない

吃音の障害を持つ人々にとって、手帳の取得やリハビリ施設の選択は非常に重要な問題です。

今回のように、まずは耳鼻咽喉科に問い合わせたところ、その病院では吃音を診察することはできず、また、障害者手帳を取得することはできないという回答をもらいました。

私の場合は、情報収集をしていたため、吃音でも障害者手帳を取得できたということを知っていたので、他の方法を考えることができました。しかし、あまり情報収集ができていない状態で初めて問い合わせた病院で障害者手帳の取得ができないと言われた場合には、そこで諦めてしまう人も出てくるかもしれません。

ダメだった時の次の行動も想定する

例えば、障害者手帳を取得できないと聞いたことがあるかもしれませんが、実際に話を聞いても、ネット上の情報も様々な意見があり、確実な方法がまだ存在しないため、自分自身でも情報収集をしながら行動することが大切です。

また、手帳をすでに取得した人や手帳の取得に詳しい人に事前に情報収集をすることが重要です。

現在は、吃音に関する理解が広がりつつありますが、吃音に関する情報が不足していたり、吃音を持つ人々が周囲から理解されにくいという問題がまだまだあります。このような問題に対しても、私たちは積極的に取り組んでいく必要があります。

吃音に関する理解を深め、適切な支援を行うことで、吃音の障害を持つ人々がより豊かな人生を送ることができるようになります。今後も、私たちは吃音を抱える人々を支援し、より良い社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

吃音は「世界で自分1人しかいない謎の症状」という考えから解放された

精神福祉障がい者手帳は、一度取得した後も、2年ごとに更新が必要です。そのため、手帳を取得した人々は、2年ごとに医療機関を受診し、診断書を提出する必要があります。しかし、現在私は通院していないため、近々手帳を返納する予定です。

しかし、私が手帳を取得した当時は、手続き自体がとても簡単でした。手帳を取得することで、障がい者としての権利や福利厚生が拡充されるということを知ったため、手帳を取得することにしました。せっかく時間と手間をかけて取得したので、もったいない気もします。そもそも、当時の就職活動の結果、障がい者枠での採用を選ばなかったので、制度的には手帳を取った意味すらなかったともいえます。周りからも当時から、「わざわざ手間をかけて手帳を取らなくても…」と言われていました。

「吃音」の診断で楽になった

しかし、個人的には、手帳取得によって公式に「吃音」という診断を受けたことで、とても楽になりました。というのも、私は小さい頃から、自らの吃音を「世界で自分1人しかいない謎の症状」と考えていました。

しかし、手帳取得によって、「吃音」という症状を持つ多くの人々がいることを知りました。

その中で、小さい頃からの悩みを打ち明けたり、吃音で悩んでいるのは自分1人ではないということを知ったり、さまざまな出会いがあったことで、自分の中の無力感でできた霧が晴れたような気がしたのです。

私にとっては、一度立ち止まって自分を理解する、とても貴重な時間となりました。

吃音への理解が嬉しく価値観が変わった

先ほど書きましたが、手帳取得と並行して、別の施設でリハビリを行いました。そこで初めて、言語聴覚士の方にお会いしました。

そこでの経験も、自分の吃音に対する姿勢、考えを大きく変える貴重なものとなりました。私は、言語聴覚士の方から、吃音を持つ人々が持つ困難や、彼らが直面する偏見や差別などについて教えていただきました。

それによって、吃音への理解がより深まったことはもちろん、私の価値観も変わったように感じます。この話については、また次回の記事で書こうと思います。

手帳取得の経験が誰かの踏み出すきっかけになってほしい

私のように、吃音について、自らの悩みを周りに打ち明ける機会がない人は少なくありません。このような場合、自分の問題を解決するためには、さまざまな方法があります。たとえば、吃音に特化したカウンセリングを受けることができますし、吃音についての情報を集めて、自分自身で問題解決に取り組むこともできます。

決して障がい者手帳の取得を推奨するわけではありませんが、私は手帳の取得をする過程で、新しい発見や出会いがあり、良かったと思っています。手帳を取得することで、吃音に関する理解を深めることができると同時に、吃音のある人たちとのつながりを作ることもできます。

今回の記事が、ご自身はもちろん、周りに今後取得しようか迷っている人がいる方の後押しになればと思います。またそうでない方も、何か一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。吃音に悩む人たちが、自分自身の問題解決に向けて前進するための手助けとなるよう、この記事が役立つことを願っています。

Kay

千葉県出身。趣味は野球観戦とサウナ。幼少期から吃音があります。現在も言語聴覚士の方のもとで訓練をしている身ですが、自身の体験談や、吃音に対する考えなどを発信していきたいと思います。

記事一覧

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。