吃音当事者のKayと申します。
久々の投稿になってしまいましたが、吃音の症状の波について記事を書きました。
吃音があると、吃音の症状がひどく出てしまう時と、すらすら話せてる調子による違いを感じているはずです。
でも、この調子の良さには、どんな原因があるのかを考えた人はもしかたら、少ないのかもしれません。
吃音の波というのは、自分自身で感じることがありますが、なかなか他人の話を聞く機会が少ないのではないかと思います。
そこで、私自身の経験をもとに、どんな時に症状がひどくなったり、また、すらすら話せるのかということをこの記事で紹介します。
この記事を読んでみて、共通するところや自分とは違うところを参考にしていただければ幸いです。
”吃音の波”の認識は友人と自分で違うと気付く
私は、話す時に吃音の症状があります。しかし、その症状には波があるため、相手によって言葉が出やすくなることもあります。このような症状を抱えている当事者であれば、同じように共感していただけることでしょう。
私は昔から、吃音による波を一喜一憂してきました。しかしながら、この症状があたり前のことであると考えるようになりました。
他人は吃音の波に気づいていない
しかし先日、知人と吃音について話していた際、その人が、吃音の症状には波があることを知らなかったことに驚かされました。私たちは、2人で会話しているときの吃り具合が安定していて、場面によって変化することはないと思っていたのですが、実はそうではないのだと気付かされました。
この会話を通じて、私は、吃音の症状については、一般的には波があることがあまり認識されていないのかもしれないと感じました。吃音の症状が波のように現れることがあることを理解することは、吃音についての理解を深めるためにも重要だと思います。
子ども時代、話しやすい場面や癖がランダムに登場
今までを振り返ってみると、小学生の頃までは、波があった記憶があまりありません。流暢に話せた記憶がほぼ無く、いわゆる世間一般的な「吃音」のイメージの状態だったのかもしれません。
それだけ自身の吃音に対して深く考えていなかっただけかもしれません。
中学生の時に吃音の”波”に気づいた
波を感じるようになった一番古い記憶は、中学生の時です。ひどい時の記憶は、数学の授業で、四則演算の順番を答える時のことです。「かっこ」という言葉が全く出てこなく、無力感を感じたのを強く覚えています。
一方で調子のいい時の記憶は、国語での音読の時のことです。「噛まずに音読できるまでエンドレスで段落読み」という、今振り返っても謎すぎる時間がありました。他の生徒でさえスラスラ読むのに苦戦していた中、一発でクリアして、周りに驚かれたことを覚えています。
この頃から、「ああ、今は調子悪いからしばらく憂鬱だな」「今は話しやすいからいろんな人と話したい」と気分も変わっていた気がします。
その転換点は覚えていないことがほとんどですが、何か成功体験・失敗体験が重なることで、徐々に変わっていくのだと思います。
また当時は、話す際の癖が半月周期ごとくらいに変わっていた気がします。顔をしかめたり、奥歯を噛んだり、頬の内側を噛んだり…特に顔をしかめていたときは、よく友人に指摘されていたので、「何とか変えなければ」と色々試行錯誤していました。
”吃音の波”は周りの環境に影響されるのではないか?
更に、これは現在もですが、相手によって吃音症状の波があります。
これに気づいたのは高校生の時。女子と話している時に、友達から「女子と話すときはあんまり吃らないんだな」と茶化されたことがありました。その時は、そんなわけないと流していましたが、よく考えてみると女子の方が話しやすい傾向にあることが多い気がしました。
今のご時世、性別によって分ける考えはあまりよろしくないとは思いますが、女子の方が急かしたり茶化したりせずに、こちらに合わせて話をしてくれる友人が多かったので、話すストレスが少なかったことはあると思います。(もちろん逆、話しやすい男友達もいます。)
就職活動では波が大きくなった
就職活動の面接でも、面接官の人数や相手によって吃り具合は変わりました。面接室に入るまで、合う相手かどうかそれがわからないので、とても大変でした(もっとも、これは吃音者でなくても同じでだとおもいますが…)。面接内容よりもそちらに気が向いてしまうことが多く、就職活動で苦戦した原因の一つだったと思います。
言語聴覚士の方にお話を聞くと、これらの他にも、身体の疲労度やストレスの具合によっても吃音の症状が左右されたりするそうです。
自分はあまりそこに左右された経験はありませんが、外的な要因によって症状が変化するのは確かです。
吃音者には、それだけ周りに気を遣い、影響されやすい性格の人が多いのではないでしょうか。
調子がいい”波”で成功体験を増やして自信を付ける
今までは症状に波があることをマイナスに捉えていました。
しかし、以上のように考えてみると、波ができて調子のいい時期があるということはむしろ良いことなのかもしれません。
現在、一人暮らしをしていると、話す機会があまりなく、その波が長くなっている気がします。やはり調子が悪い時期が続くとストレスになりますし、気分も落ち込んでしまいます。成功体験を増やして自信をつけるためにも、失敗や恥を恐れずに、たくさん話すことが大切だと実感しています。
自分の”波”を観察してみる
私は中学生の時に初めて吃音の波に気付いてから、自分がどんなときに吃音がひどくなるか、どんな時にスラスラ話せることができるかを意識するようになりました。
きっと人によってスラスラ話せる時と吃音がひどくなる時は違うと思います。
しかし、自分の体がどんな環境の時に不安や緊張が少なく、どのような時に吃音がひどく出てしまうのかを理解することができれば、自分自身をさらに深く理解することができます。
つまり、それまでは自分自身では知らなかった自分を吃音が教えてくれるということです。
吃音に悩んでいる人は、自分の波がひどい時に注目してしまいますが、反対に自分の調子が良い時に注目し、その状態をいかに保つことができるかを考えてみると、吃音に悩んでいる人の手助けになるのではないかと思いました。
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