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吃音当事者のayanoと申します。私は高校時代にミュージカルの準主役に抜擢されたことがきっかけで人前で話す勇気を持つことができました。今回は私がそうなれた3つの理由をご紹介したいと思います。
吃音に悩んでいた高校時代、ミュージカルの準主役に大抜擢!
私は、いつから吃音に気がつき悩んでいたのか、はっきりとした記憶がありません。
NPO法人日本吃音協会(SCW)と出逢い、改めて吃音について向き合った時に、吃りを回避する「言い換え」が私にとって当たり前で、吃音は自分と同化していたことに気がつきました。
私が中学生だった頃は、子どもがスマホや携帯電話を持つという想定のない時代だったので(遙か昔ですね)友達と話すには、自宅にある固定電話で話すしか方法がありませんでした。
しかし、電話口で自分の名前が言えなくて、お腹が痛くなったこともありました。
そんな私は高校の時に吹奏楽部に所属しました。
1年に1度、その部活が主催する演奏会が開かれました。演奏の他に、慣例としてミュージカルがありました。
その年は「メリー・ポピンズ」となり、主役は演劇が好きな幼なじみに決定しました。
そこまでは良かったのですが、話の流れで、なんと、私が準主役をすることになってしまったのです。
吃音でセリフを言えないと思った。しかしリハーサルでは緊張しなかった!
「えー無理やー! セリフ、絶対すらすら言えへんもんー!!」
と、本音を叫びたかったのですが、当時は吃音について誰にも話したことがなかったので、流れを変えられずに引き受けることになりました。
演奏会に向けて、皆で創り上げていく毎日は、わくわくと共に誰にも言えないドキドキを抱えていました。
脚本作りや演技指導も自分たちで行うので、どうしても発音しにくいセリフは、何かしらの理由を付けて変えさせてもらったかもしれません。
半年ほどかけて、練習してきた本番の日。
リハーサルで、舞台に立ったときに感じたこと。
「あれ!?? 全然、緊張してない。」
自分で自分に驚きました。
高校生なりに、そのときは「大丈夫って思えるまで、みんなと練習を重ねてきたからかな。」と思っていました。
そして、ミュージカルは大成功!
そして夜になり、1回きりの本番の時がやってきました。
例年になく、立ち見のお客様が出るほど会場の市民会館は満席で、その光景に驚いてしまいました。
ここまで来ると、60名ほどの部員はわくわくでいっぱいです。
演奏もミュージカルも、本番を楽しむ余裕さえあり、大きな拍手を頂きました。
部員たちのとても満足そうな表情を見たとき、とても嬉しい気持ちになりました。
「あ、私、出来たな。」
と、自分がやったことなのに、ちょっと引いて驚いている自分も居たように思います。
1,000人の前でセリフを言い、演技もして、歌まで歌うことができたのです。
吃音がある私が人前で話せた3つの理由
当時を振り返って、あの日私がなぜ、そんなことが出来たのか改めて考えてみると3つの理由がありました。
- 勢い
- 部員に対する安心感と信頼感とチャレンジ精神
- うまくいっているイメージトレーニング
当時、私は部長をさせていただいていたので、無意識ながら心も頭も常に部活のイメトレでいっぱいでした。
1,000人の前で、言葉に詰まって顔が真っ赤になるかもしれない、という思いを抱えながらも「よく分からんけど、チャレンジしてみようかな。」と思ったあの感覚は、安心感がベースにあったからだと今では思います。
部員やお客様にとっては、例年通りの演奏会であり、ミュージカルでした。
しかし、私にとっては吃音との挑戦の意味合いも含んでいた、部長として挑んだ1度きりの演奏会だったのです。
「吃音を気にしないで!」
皆さんにそう言うことは、私には出来ません。 なぜなら、私が吃音を気にしないで居られたことがないからです。
私の体験から思うことは、吃音はそのままにして、他に自分が好きなことや楽しいこと、夢中になれることがあったら、それに思いっきり打ち込んでみて欲しいということ。
また、もし自分の安心できる場で吃音と向き合う場面が巡ってきたら、勢いで引き受けてみると知らない自分に出会えることがあるかもしれないということです。
そして、自分の心と頭は誰ひとりとして、邪魔されないし覗かれないので、安心してということ。
あなたが上手くいっているイメージを遠慮せずに、たっぷりしてみてください。
いつかの日か、あなたのエピソードを聞かせてもらえたら嬉しいです。
スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス!!(ayano)
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