吃音で電話が苦手なあなたへ。無理に電話をかけなくてもいい理由 - HAPPY FOX

吃音で電話が苦手なあなたへ。無理に電話をかけなくてもいい理由

  1. 吃音の体験談
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吃音者にとって、日常生活の中には大小様々な壁があると思います。中でも電話をかけることは、大きな壁のひとつなのではないでしょうか?私もその1人です。そこで、今回は電話についての経験を書こうと思います。

吃音のせいで電話をかけることがずっと苦手だった。

吃音のせいで電話をかけることがずっと苦手だった。

「電話をかける」という行為は、吃音者でなくても苦手な人は多いと思います。

私も、小学生の頃からずっと苦手としていることの1つです。

対面で話すこととは違い、相手の様子を見ることができないため、こちらが吃音であるということが伝わらないのが大きな原因だと思います。

うまく言葉が出て来ずに沈黙が続いてしまうと、いたずら電話かと思って切られてしまったり、次の発言を執拗に催促されたりするのがとても怖かったです。

また、対面なら頷くことで伝わる相槌も、電話だと声で反応しなければいけません。

「はい」というたった2文字が電話になると、どうしても出て来なくなることが今でもよくあります。

「闇雲に練習すれば治るというわけではないのに! 」

「闇雲に練習すれば治るというわけではないの

小学生の頃は、友達と連絡を取りたいとき、自宅の固定電話を使わなければいけませんでした。

当時は携帯電話を持っていなかったためです。

家族が見ている中で電話をかけるのはとても緊張してしまうため、できるだけ避けていました。

また、相手の親が電話に出た場合、最初に名乗る際に名前がどうしても出てこないことが多々ありました。

そのため、連絡を取りたい時は、あらかじめ電話する時間を友達に伝えるようにしていました

名前を言わなくてもいいように、その時間に電話を待ってくれる友達もいて、とても助かったことを覚えています。

しかし中学生になると、電話をかける場面も増えてきます。私は部活動の部長だったため、連絡網の1番上になり、他の人より多く電話をかけなければいけなくなりました。

場数を増やして電話の練習をさせよう、という顧問の先生なりの配慮だったのかもしれませんが、正直勘弁して欲しかったです。

「ただ単に緊張して噛んでしまうわけじゃないから、闇雲に練習すれば治るというわけではないのに!」

いつもそう思っていました。

実際、この時の失敗経験を後々まで引きずることになってしまったように思います。

電話に出ることができなくなり、就職活動を中止

電話に出ることができなくなり、就職活動を中止

次の壁は、就職活動の時に現れました。

合否の結果連絡などが電話だと「流暢に話せなければ印象が悪くなってしまうのではないか?」という心配が増え、徐々に電話に出ることが怖くなってしまいました。

私は当時、国家公務員の試験を受験しました。筆記試験は通過したものの、毎日のようにかかってくる官庁訪問の案内や、選考結果の電話連絡に辟易してしまい、電話に出ることができなくなりました。

結局、その時点で就職活動を中止することになってしまいました。

周りからは「合格していたのにもったいない」と言われましたが今振り返っても、やむを得なかったと思います。

また、日常生活でも病院や歯医者、飲食店の予約は電話でしなければならないところが多いと思います。

私は自然と、ネットで予約できるところを探して、電話をかける場面を避けるようになっていました。

その度に「自分はこのままでいいのだろうか?」と無力感に包まれていました。

しかし、言語聴覚士の方と訓練をしていく中で、ゆっくり話すように心がけることで、ある程度症状をコントロールできることがわかりました

そこから、だんだんと電話に対する恐怖心が和らいできました。

無理に電話をかける、かけさせる必要はない

無理に電話をかける、かけさせる必要はない

社会人となった今では、電話をかける前は緊張するものの、以前のような極度の恐怖心を持たずにかけられるようになりました。

「電話をかけることがどうしても怖い場合、どうすれば良いのか?」 「電話を避けることはいけないことなのか?」

多くの不安があるでしょう。

また、当事者だけではなく吃音のお子さんを持つ方も、どのように対応すればいいのか分からないこともあると思います。

私の親も、おそらく悩んだだろうと思います。

様々な意見があると思いますが、私は無理に電話をかける、かけさせる必要はないと思います。

恐怖心がある状態で電話をすると、どうしても吃ってしまいます。それが失敗体験となって積み重なることで、余計電話をすることを躊躇してしまうことが多いのではないでしょうか?

私もその一人でした。

そのため、無理そうだと思った時は、誰かに代わりにかけてもらったりするなど、周りに助けてもらう方が良いと思います。

電話の相手が望んでいるのは流暢な話し方ではなく、あくまでも話の内容

電話の相手が望んでいるのは流暢な話し方ではなく、あくま

幸いにも今の時代は電話だけではなく、SNSを利用して文章でやりとりすることもできます。

むしろその方が主流になっており、吃音者にとっては良い流れだと思います。

そうは言っても、どうしても電話をかけなければいけない場面は訪れます。

そのため、調子の良さそうな時は自分で頑張ってかけてみたり、友達や家族、学校のカウンセラーの人などに練習を頼んだりして、成功体験を増やすことが大事だと思います。

電話をかける前に簡単なメモを事前に取って、話す内容を整理してみるのも良いかもしれません。

また、電話の相手が望んでいるのは流暢な話し方ではなく、あくまでも話の内容です。

予約の電話などは「どうせもう会わない人だし、吃ってしまっても伝わればいいや!」と自分に言い聞かせてからダイアルしています。

ここまで偉そうに書きましたが、やはり電話は他の人以上に勇気がいることです。

今でも電話をかける前はどうしても「うまく電話できるかな…?」と気構えてしまいます。

そもそも病院やお店の電話予約は、お互い面倒ですし非効率だと日々思います。

電話が苦手な人たちのためにも、早いうちに全てがオンライン上で完結するようになればいいなと思います。

Kay

千葉県出身。趣味は野球観戦とサウナ。幼少期から吃音があります。現在も言語聴覚士の方のもとで訓練をしている身ですが、自身の体験談や、吃音に対する考えなどを発信していきたいと思います。

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