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吃音を抱える人の中で、学生時代が一番辛かったという人も多いのではないでしょうか?私もそう思っていた1人です。しかし、吃音を抱えていても挑戦することで成し遂げられることは必ずあります。今回は私がそう確信した出来事をお話します。
ボランティア活動で大きな障害となっていた吃音。
高校1年生の時、私は口をパクパクさせて教室の前に立っていました。
私は高校生時代ボランティア委員会に入っていました。ボランティア委員会では「プルタブ回収」といって、飲み物の缶を開けるときに指をかける、つまみの部分(プルタブ)を集めると車椅子を寄付できるという活動を行っていました。
私はお昼休みになると各学級を回って、ゴミ箱の隣に設置した「プルタブ入れ」からプルタブを回収して、回収したプルタブを中庭の水道で綺麗に洗って乾燥させ、45リットルのごみ袋に貯めていくことになっていました。
プルタブを集めて綺麗にする作業は簡単でした。しかし、私が一番ハードルを感じていたのが、クラスに入るときに言うセリフを言えないということでした。
「ボランティア委員会の奥村です。プルタブを回収に来ました。」
今思えば、何も言わずに教室に入れば良かったと思います。しかし、当時は真面目だったので、決められたセリフを言わなければと思いこんでいたのです。
吃音で辛いとき、目標を達成した自分を思い描いた。
多くの吃音当事者がそうであるように、私も自分の名前を言うことができませんでした。
決められたセリフを言おうとしても、言葉がつっかえて先に進みません。早くしないと休み時間が終わってしまうという焦りや、声が出ない苛立ちでいっぱいでした。
しかし、プルタブを回収しないと車いすをいつまでたっても寄付できません。私は車いすを寄付している自分を想像して、プルタブ回収を続けました。
毎日、教室を回っていたおかげかプルタブ回収も段々と慣れていき、吃音が出るのではないかという不安もなくなってきました。
吃音が出てしまっても、ごみ袋に着々と溜まっていくプルタブを見ると頑張れる気がしました。
ついに目標達成!同時に、吃音が軽減したことに気づいた。
プルタブ回収を始めて、そろそろ1年経つという時、とうとう45リットルのごみ袋がプルタブで一杯になりました。
私たちボランティア委員会は電車に乗って、1年間かけて集めたプルタブを寄付先に無事に届けることができました。
私たちが集めたプルタブで誰かが必要としている車いすを寄付できたということで、達成感で一杯でした。
また、予想していなかったこともありました。それは他の教室に入って挨拶を言う場面で吃音が出にくくなったのです。約1年間プルタブ回収で各教室を訪問していたので、慣れたのでしょう。
それは職員室への訪問でも同じでした。先生に用事があるとき、自分のクラスと名前を吃らずに言うことができるようになったのです。
プルタブ回収は車いすを寄付することができただけではなく、私の吃音にも良い影響を与えたのです。
目標を達成した自分の姿を常に思い描いて継続すれば、必ずあなたの物語のハッピーエンドにたどり着く。
この体験談を読んでいる人の中には、吃音が辛くて目標を諦めかけている人もいるかもしれません。
もし、吃音が辛くて目標を見失いかけてしまったら、思い出してほしいことがあります。
それは、目標を達成した自分を思い浮かべるということです。
目標を無事に達成した自分を映画のラストシーンのように思い浮かべることで、今の自分を奮い立たせることができます。
物語には起承転結があります。いいストーリーには必ず挫折や困難が立ちはだかります。しかし、それを乗り越えるからこそ、ハッピーエンドが待っているのです。
あなたも、あなたの人生という物語の主人公です。あなたの物語をハッピーエンドにするためには挫折や困難が必要で、それが今の時期なのかもしれません。
目標を達成した自分の姿を常に思い描いて継続すれば、必ずあなたの物語のハッピーエンドにたどり着くでしょう。
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