【吃音対処法】吃音で声に詰まったら仲間と一緒に声をそろえて。 - HAPPY FOX

【吃音対処法】吃音で声に詰まったら仲間と一緒に声をそろえて。

  1. 吃音の体験談
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吃音があると生活の様々な場面でハードルを感じることがあります。しかし、周りの人の力を借りることで新しい挑戦をすることもできます。今回は私が仲間の力を借りて募金活動を行った体験談をお話したいと思います。

校門前で行う募金活動。呼びかけの声が上手く出るか不安だった。

校門前で行う募金活動。呼びかけの声が上手く出るか不安だった。
写真はイメージです。

高校時代、私はボランティア委員会に所属して様々な活動をしていました。思い出深い活動は共同募金活動です。

共同募金とは「赤い羽根募金」の呼び名でも知られる募金活動で、集められた募金は高齢者や障害者のための福祉の充実や福祉活動の啓発のために活用されます。

私たちボランティア委員会は学校の校門前で呼びかけを行い、募金をしていただいた方に赤い羽根を手渡すという活動をすることになりました。

私は幼いころから吃音のせいで大きな声を出すことに抵抗感を感じていました。そのため、高校生になっても声は小さいままで聞き返されることもありました。

募金活動をする際には大きな声を出す必要があります。私は何となく不安を抱えながらも募金活動当日を迎えました。

大ピンチ!募金呼びかけのフレーズは苦手な母音ばかり

募金呼びかけのフレーズは苦手な母音ばかりで大ピンチ!
写真はイメージです。

通っていた高校は沢山の生徒が通う、いわゆるマンモス校でした。そのため、校門前には毎朝多くの人が出入りしていました。

募金の呼びかけでは、3年生の先輩が決めたフレーズを各々が言うことになっていました。フレーズが書かれた紙が各委員に手渡されたときに、私は苦手な母音が含まれていないことを祈りました。

しかし、私の祈りは叶うことなく、フレーズは母音だらけでした。

先輩の手前、呼びかけをしないわけにはいかなかったので、声を絞り出すことにしました。

しかし母音になると、どうしても声が詰まってしまいました。上ずった声が響いてしまい、思わず顔が熱くなりました。

「声を揃えて一緒に言ってみない?」 作戦は大成功!

「声を揃えて一緒に言ってみない?」 作戦は大成功!
写真はイメージです。

校門前を通り過ぎる人と目が合いそうになって思わずうつむいた時、隣で呼びかけをしていた高田さん(仮名)が話しかけてきました。

「もしよかったら、フレーズを繋げて一緒に言ってみない?」

私と高田さんは先輩の了解を得て、2人で声を揃えて2人分のフレーズを声を揃えて読み上げました。

それまで弱弱しかった声が2人分になることで、力強さが増して響き渡りました。

その時、学校の事務員さんが校門を通りました。

「朝から頑張っているわね。応援しているからね!」そう言って、募金箱にお金を入れていただきました。

私たちは自分たちの作戦が成功したことに驚いて、顔を見合わせて喜びました。

それから、募金活動の日は高田さんと一緒に声を合わせて呼びかけを行いました。

一緒に声を揃えて呼びかけをしたいといって、私たちの仲間になってくれたボランティア委員もいました。

最終的に3人で毎回呼びかけを行っていました。

その様子を見て、3年生の先輩も「うちの高校は大きくて声が響きにくいから、声を揃えて呼びかけるのはいい方法だったかもね」と言っていました。

私が吃音を抱えていることを高田さんが知っていたのかは分かりません。しかし、卒業するまでずっと私の話し方について何も聞いてこなかった彼女には、あの日声をかけてくれたことに感謝しています。

声が出にくいときは仲間と声を揃えて言ってみよう!

声が出にくいときは仲間と声を揃えて言ってみよう!
写真はイメージです。

声を揃えて呼びかけをすることは、声が大きくなって響きやすいということ以外にも意外な効果がありました。それは、吃音が出にくくなったということです。

1人では言いにくい母音も3人で声を揃えて言うとスッと出てくることが何度もありました。もちろん、それでも詰まってしまうことはありますが、吃っても他の2人の声にカバーされて吃音が目立つ心配はありませんでした。

吃音の心配が少なくなったことで、前を向いて自信を持って呼びかけることができました。自信がついたことで1人のときより声も大きくなったと感じました。

もし、吃音を気にして声が小さくなって困っている学生がいたら、複数人で声を揃えて言ってみることをオススメします。1人だけ誘うと目立ってしまうので、できれば3人か4人の仲間を集めることがいいでしょう。

学校の朝の会、帰りの会、号令、音読などは先生に相談するといいと思います。

例えば、学校によっては話しにくい生徒に配慮して1人2組で声を揃えて読むルールを導入しているところもあるそうです。

先生に相談するときに、ポイントがあります。それは、自分だけ特別扱いしてほしいと言うのではなく、クラス全体で声を揃えるルールにしてほしいと言うことです。

なぜかと言うと、自分だけ特別なルールにしてしまうと、かえって吃音が目立ってしまうからです。

このアドバイスが吃音に悩む学生のヒントになれば幸いです。

arisa

2歳の頃に吃音を発症した当事者です。
吃音を持つ当事者とご家族が生きやすい社会を目指して、日々吃音の啓発活動に取り組んでいます。HAPPY FOXでは、吃音者として生活してきた経験から、少しでも楽に過ごせる方法をご紹介していきます。

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