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吃音を抱えていると人前で上手く話せないことに悩んでいる人は多いのでは。話しやすくするために、様々な工夫がありますが、今回は私が中学3年生のときに発見した方法をお話ししたいと思います。
人前で話すことに苦手意識を感じていた私。
多くの吃音者がそうであるように、私は人前で話すことに苦手意識を感じていました。中学生時代は話すことに対する苦手意識が今よりも強く、辛い日々を過ごしていました。
私が通っていた中学校では、修学旅行の前に自由研究テーマを設定して、旅行後に発表することが決められていました。
自由研究はそれぞれが興味をもったテーマについて事前に調べ、旅行中の調査を通して分かったことを発表するというものでした。
発表している自分を想像しても、吃音で恥をかいている自分しか思い浮かばない…
楽しい修学旅行の間は、学校に帰った後の発表のことを忘れて楽しく過ごしました。しかし、帰りの電車で皆が発表のことを話すので、だんだんと不安な気持ちが募ってきました。
発表の時間は1人につき15分です。部活の先輩に発表の様子について聞いていたので、様子はなんとなく把握しているつもりでした。しかし、プロジェクターの前に立つ自分を想像すると、吃音で言葉が出ずに焦っている自分の姿しか思い浮かべることができませんでした。
人形遊びでは吃音が出にくかった私。これを発表で活かせないか?
発表の準備にあてる時間は沢山ありました。私は資料を作りながら、どうすれば吃音を出さずに発表を終えられるか考えていました。
発表では旧式のプロジェクターを使うことを知っていました。オーバーヘッドプロジェクターといって、照明が付いた台に用紙を置くと、それを上のカメラが写してスクリーンに投影されるものです。
そのプロジェクターを覗き込むように資料を読んでいれば、聞いている人の顔を見なくて済みます。私は聞いている人の顔を見ると緊張で吃症状が強く出るので、プロジェクターを使うことは有利に働くと思いました。
ふと、机を見ると筆箱につけていた小さな犬のぬいぐるみが目に留まりました。幼いころ、人形遊びをしているとき、人形が話しているように声色を変えて話すと、言葉が出やすかったことを思い出しました。
結果は大成功!声色を変えたことで、吃音が出ずに発表ができた。
私の予想は当たりました。犬のぬいぐるみを筆箱から外して、楊枝を犬の手に付けて先生が持っているような指し棒のようにしました。
資料を犬のぬいぐるみが説明しているように、声色を変えて発表しました。すると、声がスラスラ出てくるではありませんか。
犬が説明している様子を見て、クラスメイト達が楽しんでいる声も聞こえてきました。私の緊張も次第にほぐれて、発表に集中することができました。
無事に発表が終わった後、周りの子たちや先生から凄く面白い発表だったと言われて、今までにない達成感を味わいました。
今回の方法は誰でも効果があるのかは分かりません。しかし、方法の1つとして知っておいていただけると嬉しいです。
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